みやけエコネット

地球の息吹を見せる島~アルピニスト野口健の三宅島体験記~

自然のたくましさと島を愛する心

Image午後は、三宅村役場の臨時庁舎で平野祐康村長と面会し、三宅島の今後の復興のことを提案したりした。昨日の体験で感じた、約20年に一度噴火が起きるという三宅島だからこそ見ることの出来る、溶岩の中に見られる自然などをエコ・ツアーに取り入れるなど、負の遺産をプラスにして行って欲しい。

阿古は楽天的、坪田は生真面目など、地域によって村人の性質は大分違うようで、夜遊ぶなら阿古が良いとか、野菜を買うなら坪田のものが良いなど、面白いものだなと思った。避難先では、住んでいた地域に関係なくばらばらにされてしまう共同生活だったそうで、お年寄りには辛かったようだ。長期間の避難生活だったため、本州の東京で仕事を得て落ち着いた生活を送っていた人も多かったようだが、帰島できるようになるとやはり三宅島の魅力に引き戻されるのだろう。何度も噴火を繰り返しその度に財産を失って来たのに、それでも島に戻ることを選び、島の復興の為に懸命に生きている。住み慣れた故郷を何年も離れなければいけないという苦汁を経験したからこそ、より深い故郷に対する愛がそこにはあるのだろう。そして、同じ経験を持つ彼らだからこそ、強い絆で結ばれているのだろう。都会で安穏と暮らしていては気付かない大切なものを島の人は持っていた。

Image7月14日、曇り。この日も海は荒れ模様。大波を乗り越えて船で御蔵島の近くに行き、ドルフィンスイムを行う。環境の保全に積極的な御蔵島の近くなので、三宅島から1日に行ける船の数は決められているそうだ。ぽこんとしたお椀型の御蔵島に近づいて行くと、イルカが寄って来て船の速さに合わせて並走をしてくれる。僕も船から降りて、何頭ものイルカと一緒に泳ぐことが出来た。

午後には竹芝へ帰る船が出航するので、イルカと泳いだ余韻に浸りつつ、急いで帰り支度をする。2日間の短い滞在の中で、大噴火、その後の火山ガスの影響など、自然の驚異を目にすると共に、そんな中で、逞しく生きている野鳥達など、生命力の逞しさを感じた。また、一度故郷を離れた島民たちが、厳しい環境のなか島の復興のため懸命に生きている姿に、感銘を受けた。船が出港する時、ずっと島を覆っていた雲が消え去っており、地球の息吹を見せている山の雄姿が目の前に現れていた。

体験記写真

野口健さんが見た三宅島の様々な表情・・・フォトギャラリーはこちら

野口健(のぐち・けん)
1973年アメリカ生まれ。サウジアラビア、エジプトなど世界各地で少年時代を過ごす。1999年、3度目の挑戦でエベレスト登頂に成功し、7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で樹立。その後はエベレストや富士山の清掃登山、「野口健 環境学校」の開校、また環境省や東京都の委員を務めるなど、環境保護活動に精力的に取り組んでいる。
http://www.noguchi-ken.com/

*野口さんの三宅島ダイビング&ドルフィンスイムの模様は、『月刊ダイバー』10月号(9月9日発売)でも紹介されます。どうぞお楽しみに!

野口健さんが見た三宅島の様々な表情・・・フォトギャラリーはこちら
次のページへ
 1  | 2  | 3  | 4  | 5  |

みやけ探検隊トップに戻る