前日の天気予報では降水確率70%。ところが三宅島は朝から晴れ! ほっと胸をなでおろした♪鳥くんとスタッフは、朝8時過ぎに小学校に向かいました。
到着すると、副校長先生から予想外の事態が告げられました。「大路池のある立根地区に火山ガス警報が出ています。解除されるまでは出発できません」。
三宅島は、2000年に噴火した雄山からいまも火山ガスが放出されています。島に暮らす人々の生活にはほぼ影響のないレベルですが、風下にいると、いわゆる硫黄温泉の匂いがふわぁっと漂ってくることがあります。立根地区はあまり風下にはならない地区なのですが、この日に限ってこちらに風が吹いています。発令された「火山ガス警報レベル2」は、一般の人には問題のないレベルなのですが、学校の決まりで、子どもたちの野外活動は控えなければいけません。
天気に気を取られて盲点を突かれたともいえる事態にスタッフはにわかに慌てましたが、そこは発想の転換。観察前に大路池近くで行う予定だったフィールドスコープの練習を小学校の駐車場で行うことにし、その間に、篠木さんとスタッフが代わりの観察場所の下見に走ることになりました。
♪鳥くんのアイデアで、学校から借りたぬいぐるみを臨時の的にして木の上にセッティング。♪鳥くんのスコープと小学校にあったスコープで、子どもたちは順番に、ぬいぐるみをレンズの中に入れて見る練習をしました。
「周りの木から順番にたどっていくといいよー」「分からなくなったらもう一度肉眼で場所を確認するんだよー」。♪鳥くんのアドバイスに、次々と「見えた!」の声があがります。今回は、くちばしの色や細かな特徴など、野鳥の姿を細部までじっくり観察するため、双眼鏡より鳥が大きく見えるフィールドスコープ(望遠鏡)での観察に挑戦するのです。
スコープ教室が終わったところで、♪鳥くんが観察で使うフィールドノートの説明をします。下見隊も観察場所のあたりをつけて帰還。子どもたちと♪鳥くんは、ようやくスクールバスに乗って観察へと出発しました。が、到着したところで「火山ガス警報が解除された」とのうれしい連絡。一行は再びバスに乗り込み、当初の目的地・大路池へと向かったのでした。
大きな声を出すと鳥が逃げてしまうから観察するときは静かにすること。スコープでじっくり鳥を見ること。気づいたことはどんどんメモしておくこと。観察できたら東屋でイラストを描くこと。大路池の桟橋の手前で、♪鳥くんから改めて注意事項と目標が説明されました。子どもたちは2人1組になり、各組1台ずつスコープを持って、池の桟橋へと出ます。
照葉樹の森に囲まれた大路池。はしの方を見てみると、カモ類やオオバンなど、秋になって三宅島に渡ってきた水鳥がゆったりと泳いでいます。体も大きく、初心者でも観察しやすい鳥たちです。子どもたちはそっとスコープを立て、すぐに集中して鳥たちの観察を始めました。はしゃいだりする子は誰もいません。
2人組で協力して、「首は何色だった?」「カルガモは7羽いるよ」と教えあってフィールドノートに書き込む子もいれば、一人ずつ集中して、スコープをのぞいてはメモを取る子たちもいます。


何人かの子どもたちはスコープにデジカメを取り付けて野鳥を撮影する「デジスコ」にも挑戦した
(デジスコ器材協力:興和株式会社)
後半、大半の子が東屋に戻ってイラストを描いていると、一人の男の子が描きかけのフィールドノートを抱えて桟橋に。「あとオオバンの目の色だけが分からないから」。スコープをのぞき、ばっちり観察。自分の目で確かめたことは、きっと忘れない記憶と知識になります。
最後は、観察で一番印象に残ったことを一人ずつ発表します。「オオバンが水草を食べていたところ」「オオバンが一列になって進んでいたこと」「カルガモがオオバンにまぎれて一緒にえさを食べていたところ」。みんないろんなところを見ています。
「今日はみんな一生懸命鳥を見ていてすごくよかったと思います。これからも、ときどきは身近な鳥のことを思い出してみてください。あんな鳥見たなとか、そういえば夏はオオバンいないなぁとか。ちょっとしたことでも、自分で気づいて発見することが大事だよ」。♪鳥くんの講評をもらって、午前中いっぱいかけて行ったバードウォッチングが終了。午後、子どもたちから回収したフィールドノートを見て、その熱心なメモや、驚くほど正確に鳥の特徴を再現したイラストに、♪鳥くんとスタッフたちは改めて驚かされたのでした。

フィールドノートと一緒に子どもたちが使った、♪鳥くん特製「三宅島ミニミニ野鳥図鑑」
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